【良書紹介】「目標が持てない時代」のキャリアデザイン
「自分のキャリアはこのままでいいのか?」
おそらく多くのビジネスマンが抱いている疑問から、本書は始まります。
これを当然のことだと著者が述べる理由は、「働き方が激変する時代」と「従来のキャリアの考え方」がフィットしていないことにあるようです。本書はさまざまなワークやケーススタディを通して、わかりやすく現代特有のキャリアの悩みの解消の仕方について論じています。
この記事ではそんな良書について、あなたが買って読みたくなるようにまとめました。
最も変わった点は「目標の喪失」
技術革新、人生100年時代、人口減少、コロナショックなど、さまざまな要因がこの変化を加速させています。
江戸時代から明治時代に変わった際の武士が直面したように、努力の対象の曖昧化・多様化が進んでいます。少し大袈裟な例えでしょうか?
著者はこのような時代を「目標喪失時代」と呼んでいます。
大切な目標を喪失することは確かにネガティブな出来事かもしれませんが、目標を失った先にいる新しい自分と出会えるチャンス、とポジティブに表現しています。
この本が読者に教えてくれること、
それは「新たな目標を生み出す方法論」です。
専門性は陳腐化する
ある程度専門性に自信がある仕事をしている方も気が付きつつあるかもしれませんが、どれだけ尖ったスキルも、環境変化や技術革新により陳腐化します。
企業が一生面倒を見てくれるわけではない、
かといって、自分が時間をかけて身につけた専門性も永遠のものではない。
今はそんな時代なんですね。
キャリアデザインの方法論の3つの限界
① キャリアにおける正しい判断を個人ですることの限界
② 目標を絞り込むことでそれを喪失した際のダメージ
③ WILL × CAN × MUST のフレームワークが抱える問題
序章でキャリアデザインを考えることの難しさをわかりやすく説いています。
それを打開するためのアプローチについて、偶発性理論を挙げています。
よりよい偶然に遭遇する機会を増やし、それをキャリア形成に活かすことの重要性と、そこに不足している考え方を補足的に解説してくれています。
キャリアの目的
目標喪失時代に、連続的に次々と目標を生み出していくのに必要なのがキャリアの目的です。キャリアの目的を育てるということが、少しわかりにくいかもしれませんね。
「私は〜になりたい。」で表現されるものが目標に対し、「私は〜な存在でありたい」で表現されるものが目的です。
最近読んだ別のお気に入りの書籍「3週間続ければ一生が変わる」に、「心が元気になるマントラを唱える」という項に、言葉がもつ独特なパワーについて書かれていました。
「私は〜な存在でありたい」という言葉はそれを唱えるだけでワクワクするようなものでしょう?本書が扱っているキャリアデザインを超えて、まるでお守りのようにそういった言葉を持っておくことはとても大事だと私も感じました。
また著者はキャリアの目的を断定的に表現するのではなく、曖昧を許容して育てていくことが重要だと説いています。
これを考える際に、多くの人は自分の何が良くないのか、何を変えるべきなのか、に目を向けがちですが、自分を見直した際に考えることは、「自分の何を変えないか」です。
とはいっても、なかなかどのように自分を見直したらいいのかわかりませんよね?
本書の中盤には「キャリアの目的を考えるワーク」があります。
誰でも、そこに書かれている質問に答えながら自分を見直すことができる点も、本書のおすすめポイントです。
さて、紹介文はここまで、あとは実際に本書を手にとっていただければと思います!
あなたも本書を読んで、社会が用意したレールではなく、自ら新しいレールを作りだし、走っていける力を育てましょう!